通話録音と文字起こしの活用 — 言った言わないを防ぎ、応対を改善する
AIRI編集部
·8分で読めます
「先日の電話でそう聞いた」「いや、そうは言っていない」。電話は記録が残らないため、言った・言わないの行き違いが起きやすい連絡手段です。メモは書く人によって内容が変わり、忙しいときほど抜けが出ます。
通話を録音し、さらに文字に起こしておくと、こうした行き違いを防げるだけでなく、応対の改善や顧客の声の分析にも使えます。この記事では、通話録音と文字起こしの使いみちと、導入時の注意点を整理します。
録音だけでは使われない
通話録音の機能そのものは、以前から多くの電話システムにあります。それでも活用が進まなかったのは、録音は聞き返すのに通話と同じだけの時間がかかるからです。10分の通話を確認するには10分かかり、どの通話に何が話されているかは、聞いてみるまで分かりません。
文字起こしがあると、この制約がなくなります。
| 録音のみ | 録音+文字起こし | |
|---|---|---|
| 内容の確認 | 最初から聞く | 数十秒で読める |
| 探す | 日時や番号でしか探せない | 言葉で検索できる |
| 共有 | 音声ファイルを渡す | 文章・要約で渡せる |
| 分析 | 人が聞いて集計する | 全件を対象に傾向を見られる |
録音のみの場合は、再生を最初から聞き続けて、1分50秒ほど経ったところでやっと納期の話にたどり着きます。録音に文字起こしがある場合は、通話の内容が最初から文字で出ているので、検索欄に「納期」と入れると該当する行がすぐに見つかり、「納期の前倒し希望(来週金曜)」のような要約を文章で共有できます。
通話録音・文字起こしの5つの使いみち
1. 言った・言わないを防ぐ
注文の内容、納期の約束、解約の申し出など、後から確認が必要になるやり取りを記録として残せます。行き違いが起きたときに、記憶ではなく記録をもとに話ができます。
2. 引き継ぎとメモの手間を減らす
電話を受けた人が用件を要約して書く作業は、時間がかかるうえに抜けが出ます。文字起こしと要約があれば、担当者は折り返す前に内容を把握でき、お客様に同じ説明を繰り返してもらわずに済みます。
3. 応対の品質をそろえる
うまくいった応対と、こじれた応対を見比べることで、言い回しや説明の順番を改善できます。新人の教育にも、実際の通話が教材になります。人手不足の現場での教育負担の下げ方はコールセンターの人手不足でも触れています。
4. 顧客の声を集める
どんな質問が多いか、どこに不満があるか、何が欲しいと言われているか。通話の内容を全件で見られるようになると、よくある質問の整備や商品の改善に使える材料が集まります。進め方はAI時代のVOC活用で解説しています。
5. 従業員を守る
暴言や過度な要求があったとき、記録は事実を確認するための根拠になります。「この通話は録音しています」という案内そのものが、抑止として働くこともあります。詳しくは電話窓口のカスハラ対策をご覧ください。
導入時に決めておくこと
- 録音していることを伝える — 通話の冒頭で「品質向上のため録音しています」と案内するのが一般的です。録音の告知や同意の考え方はAI電話の法的論点まとめで整理しています。
- 利用目的を明らかにする — 録音や文字起こしには個人情報が含まれます。何のために使うのかを、プライバシーポリシーなどで示します。
- 保存期間を決める — 必要以上に長く持たないことが基本です。サービスによって、プランごとに保存期間が決まっている場合があります。
- 閲覧できる人を絞る — 全員が全通話を見られる状態にせず、役割に応じて閲覧の範囲を決めます。
- 聞いてはいけない情報を決める — クレジットカード番号などを電話で聞き取らない運用にしておくと、記録に残る情報の危険性を下げられます。
文字起こしの精度について
音声認識の精度は大きく向上しましたが、完全ではありません。人名・地名・商品名などの固有名詞、周囲の騒音、早口や小さな声では誤りが出ます。
- よく使う言葉を登録する — 自社の商品名や専門用語を登録できるサービスでは、聞き違いを減らせます。
- 重要な箇所は録音で確かめる — 金額・日付・名前など、間違いが許されない箇所は、文字だけでなく録音も確認します。
- 要約をうのみにしない — 要約は全体をつかむためのものです。判断が必要な場面では、元の文字起こしを読みます。
まとめ
通話録音は、文字起こしと組み合わせて初めて日常的に使えるものになります。行き違いの防止、引き継ぎの省力化、応対の改善、顧客の声の収集、従業員の保護——同じ記録が、複数の目的に役立ちます。録音の告知・利用目的・保存期間・閲覧の範囲を先に決めたうえで、まずは1つの番号から始めてみてください。
よくある質問
通話を録音するとき、相手の同意は必要ですか?
事業者が通話を録音する場合は、冒頭で録音していることを案内し、利用目的を明らかにしておくのが一般的な対応です。業種や利用の仕方によって確認すべき点が異なるため、詳細は専門家に確認してください。
文字起こしの精度はどのくらいですか?
一般的な会話は高い精度で文字になりますが、固有名詞や騒音のある環境では誤りが出ます。金額・日付・名前などの重要な箇所は、録音を聞いて確かめる運用にしてください。
AIが応対した通話も記録されますか?
サービスによりますが、AIが応対した通話は、会話の文字起こしと要約が自動で残るものが一般的です。人が電話に出ていなくても、後から内容を確認できます。
録音や文字起こしはどれだけの期間保存されますか?
サービスや契約プランによって異なります。保存期間、削除の方法、誰が閲覧できるかを契約前に確認してください。
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